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第11回FDフォーラム「これからの大学教育」(財団法人 大学コンソーシアム京都主催)
第5分科会「FD活動をどう組織化するか」に参加して
学務部学務課 佛坂公子
第5分科会は、溝上慎一京都大学助教授、久保田賢一関西大学教授、宇佐見義尚亜細亜大学助教授の3名の報告者をむかえ、龍谷大学教育開発センター長・近藤久雄教授のコーディネートのもとに「FD活動をどう組織化するか−FDの具体化と学生の役割」というテーマでの議論が行なわれました。
はじめに報告者より、所属大学のFD組織・機構の概要説明と活動内容報告、学生の参加を伴ったFD活動の事例報告がありました。それを受けて、参加者が個別の報告者あてに質問カードを提出し、それに答えながら議論を深めていく、といった形式の分科会でした。
一人目の報告者、溝上慎一助教授(京都大学高等教育研究開発推進センター)は、本学FD推進センター・施策開発プロジェクトリーダーの藤田哲也助教授とともに、教育関係の図書を編著されている方です。溝上助教授より京都大学高等教育研究開発推進センターの沿革と組織概要の説明の後、2004年4月から実施している学生参加型教育改革プロジェクト「京都大学教育交流会プロジェクト」について報告がありました。
次に久保田賢一教授(関西大学総合情報学部)より、関西大学全学共通教育推進機構の組織概要と、同機構FD部門委員会で実施している学生参加型FDフォーラム、TAを活用した授業実践の事例報告がありました。
さらに宇佐見義尚助教授(亜細亜大学経済学部)より、亜細亜大学経済学部学習ケアセンター構想の中断を通じて、ご自身がお考えになった今後のFD活動のあり方について報告がありました。宇佐見教授は本学FDシンポジウムに2回とも参加くださった方です。
分科会全体を通して、私が印象に残った報告内容・感想は、次のとおりです。
・ 授業・学問内容を捨象した直接的なFD活動(FD研修、授業法改善など)は、多数の教員の共感を得られず、同好会のようになりがちで、実質的実行が難しい。逆に、授業・学問内容を伴った学生からのつきあげには、教員は真摯に対応するという固有の雰囲気がある(京都大学)。
− 京都大学のような研究大学では、特にそのような雰囲気が強いのだろうと思いました。そしてこれまでの経験から、そのような雰囲気を「教育交流会プロジェクト」に活かすべく、実行されている点に感銘しました。大学の理念や規模、所属学生のタイプによりますが、上述の志向はどの大学の先生もお持ちなのではないかと思います。
・ 関西大学のFD組織は、教育改革を扱う全学機構の中の1部門であり、「教養教育」、「外国語教育」、他学部公開科目を扱う「学部間教育」、「授業評価」、「免許・資格」の5部門と相対的な連携をとって実施している。
− 教育改革には全学共通事項と各分野固有事項があり、それを組織でうまく分類していると感じました。
・ 近年、FD活動が活発に議論され、その理念、手法、実践が多種多様にわたる中で、FD活動を授業運営のあり方に特化して考えてみる必要性を強く感じている(亜細亜大学)。
− 先の2点とは違った方向性の意見ですが、FD活動を分類化して述べている点は同じなのではないかと思いました。「FDにも大学固有の問題がある(京都大学)」ということで、FD活動のうちのどの部分に焦点をあてるのかは、大学によって異なるのであろうと感じました。
つまり、FD活動には、主に、(1)全学共通FD事項(授業改善で言えば、『声が小さい』『学生が習っていない学問の習得を前提に授業を行なっている』など、一般的に想定できること)(2)学問分野固有事項または学問分野別に論じた方がやりやすい事項、(3)全学事項であり、合意が取れて軌道に乗れば自動的に実施できる事項(公開用シラバス・教員メールアドレス・オフィスアワー等の情報収集やソフト面のインフラ整備など)があるため、大学によってどのポイントに重点を置くかを考え、それに伴ったFDの組織化を行なうことが大切なのだと感じました。
本学FD推進センターは、まだ設立2年目であり、全学共通FD事項を中心に扱っています。これからのFD組織化の変遷の中で、センターが学部別・分野別の学問内容といかに関わるか(あるいは関わらないか)を論じるプロセスが発生するのではないか、と思いました。
なお、私は職員なのでどうしてもFDの組織化というトピックを中心に感想を書いてしまいましたが、本分科会では学生参加型のFD活動や実践授業についても、深く議論されました。学生が参加するよい点、問題点を取り上げ、会場からさらなる質問が飛ぶなど、最後は白熱した議論となりました。参加者は教員が多く、FDの組織化・学生のFD活動参加というトピックは、先生方の強い関心を引いているのだと思い、感銘を受けました。
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