「第2回 教育テクノロジー・ワークショップに参加して」

「第2回 教育テクノロジー・ワークショップに参加して」

2005.10.01

情報メディア教育研究センター教授 常盤祐司

サンフランシスコにあるアメリカ研究所にて2006年1月16日から4日間の日程で開催された「教育テクノロジーに関するワークショップ」に参加しましたので報告いたします。

このワークショップはサンフランシスコ州立大学(以下、SFSU)が法政大学のために開発したもので、今回が2回目の開催になります。

参加団は後藤FD推進センター長をリーダとし、FD推進センター、IT研究センター、総長室、そして私の所属する情報メディア教育研究センターからなる総勢11名の教職員メンバーで構成されました。

情報メディア教育研究センターは計算科学研究センターを母体にして2005年9月1日付で改組されたセンターで、従来の計算科学に関する研究に加えITを活用した授業支援活動を2006年度から開始し、FD推進をIT面から支援することになっているため、FDを支えるITの実態を把握し、さらにこうしたワークショップをFD推進センターとともに開催できるノウハウを修得するために、今回のセミナーに参加しました。

日程および参加者の詳細は以下の通りです。

日程
初日(1月16日) アイス・ブレーク(知的柔軟体操)およびオリエンテーション
Tutorial: Learning Theory
Tutorial: Online Teaching & Learning Model and Style
 
2日目(1月17日) Hands On: Digital Story Telling
3日目(1月18日) Tutorial: Digital Portfolio/Concept Mapping
Tutorial: Emerging Technology (Wiki, Blog)
 
4日目(1月19日) 視察:スタンフォード大学(Wallenberg Teaching and Learning Center)
視察:サンフランシスコ州立大学(Department of Instructional Technologies)



参加者
・FD推進センター : 後藤 篤子、新田 誠吾、奥西 好夫、桜田 東樹、佛坂 公子
・情報技術(IT)研究センター : 曽村 充利
・総長室 : 相良 竜夫
・情報メディア教育研究センター : 石田 則道、松山 佐和、岩崎 晴美、常盤 祐司

今回のワークショップは昨年10月に開催された第1回ワークショップにDigital Story Tellingというコンテンツ開発の実習を追加した内容です。ワークショップの雰囲気については総長室 妹尾課長による「第1回 教育テクノロジー・ワークショップに参加して」にて報告されている内容と多くが重複しますので、情報メディア教育研究センターがこれから関係するITに係わる視点から感想を述べることにします。

ITの位置づけ
ITの活用を中心に据えたこのワークショップ期間中、「まず教育ありき」という言葉が多くの講師から発せられたことが印象に残りました。ITは手段であり、それを目的にしてはいけないということです。
また、授業支援を行うIT環境を整備しても当初利用する教員は必ずしも多くはないが、着々と増えていくということをスタンフォード大学見学の際に耳にしました。

今後、本学には教育を支援するITが”しかけ”として導入され、FD活動をさらに加速していくことになるでしょうが、米国でのこうした事例は授業を支援するITの導入に対して多くの示唆を与えてくれるものだと思いました。

コース管理システム(CMS:Course Management System)の導入
ワークショップではMoodleというオープンソースのコース管理システムを使いました。コース管理システムは教員からの課題提示および教材提示、学習者からのレポート提出およびアンケートなどをWebブラウザーで電子的に行うシステムで、教員にとっては紙によるやり取りをなくし、学生にとってはいつでも、どこからでも学習を可能とするシステムです。

MoodleはBlackboardに替わってSFSUで使われ始めたコース管理システムですが、MoodleのほうがSFSUの利用モデルにあっているということから最終的に選択されたとのことでした。ここでもまず「教育ありき」という前提が実践されており、教員の使い方を想定せずに機能だけでITを選択してしまう”ITのひとりよがり”になりがちなコース管理システムの導入ではなく、教員とうまく調和をとりながら上手に導入をしていると思いました。

本学でも様々なコース管理システムがIT研究センターを中心に実験的に利用されていますので、IT研究センターの実績と今回のワークショップで学んだ導入事例をベースにして教員と協議を重ね、使いやすい環境を構築していくべきだということを再認識しました。

Wiki, Blogの利用
これから大学における利用が有望となるテクノロジーとして、Wiki(ウィキ)およびBlog(ブログ)が紹介されました。

WikiはWebブラウザーだけで簡単にWebコンテンツの登録、更新ができるコンテンツ管理システムです。Wikiにはいろいろと派生したWikiがあり、本学でも多摩社会学部教授陣データベースなどで利用されています。

また、Blogはインターネット上で公開する電子日記システムです。本学においても研究室あるいはセンターの活動を公開するために利用されています。

いずれのシステムもインターネットにおいて無償のサービスとして利用することができますが、これからますます盛んになると思われる大学での利用については、著作権、個人情報保護、言葉遣いなどに対してある程度のガイドラインの必要性を感じました。

コンテンツ制作
ワークショップ参加者にはシナリオ、写真、音楽を準備するようにという宿題が日本を発つ前に課され、かつ現地に到着した時点でオペレーションマニュアルが手渡され、周到な事前準備を条件にワークショップ2日目のコンテンツ作りに臨みました。

Apple社のSound StudioおよびiMovieという編集システムを使って参加者一人一人が自分のストーリーを制作しました。

果たして参加者全員が奮闘の末、なんとかコンテンツを制作することができました。その出来映えは半日足らずで制作したものとは思えない、とても素晴らしいものばかりで公開できないのが残念なくらいです。

コンテンツ開発において、機器操作は慣れの問題であって大きな障壁にはなりませんが、魅力あるシナリオの作成が最大の課題だと思いました。

スタンフォード大学およびSFSU見学
スタンフォード大学では少人数教育およびグループワークを支援する教育システムが、一方SFSUは大人数向けの教育システムが印象に残っています。

カリフォルニア州の大学システムはマーチン・トロウがモデルとして見ていた「三層構造」の典型として、カリフォルニア大学(UC)、カリフォルニア州立大学(CSU)、コミュニティカレッジがそれぞれ、エリート、マス、ユニバーサル向けの教育を担当しており、スタンフォード、UCバークレィといった研究大学とSFSUが属するCSUでは対象とする学生および数が異なっているため、それぞれの特性を考慮したうえで本学にとって参考になるところを選択していくべきだと思っています。

おわりに
「池の中央に石を投じたときにできる波紋が中央から回りに広がっていくようにこのワークショップに参加したひとの影響が大学に徐々に広がって行くことを期待します。またその石が大きければ大きいほど大きな波紋ができるので、ここに集まった11人の皆様が大きな影響力を持ってLearning Technologyを活用したFDに取り組んでください。」というのがクラスマネージャをしていただいたキム教授の言葉です。

前回の参加者を含めると15人の教職員がこのワークショップに参加し、Learning Theory、Learning Style、Learning Technologyを学び、また視察を含めて、それぞれが置かれている状況に応じた多くのことを吸収できました。

これらのメンバーが池に投じられる石となるべく、熱い志を胸に抱いて今後活動を続けていくことによってFDを学内に広めていくことが、このワークショップに参加したわれわれの使命だと考えています。

今後とも皆様のご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。


コンテンツ制作
ワークショップ参加者にはシナリオ、写真、音楽を準備するようにという宿題が日本を発つ前に課され、かつ現地に到着した時点でオペレーションマニュアルが 手渡され、周到な事前準備を条件にワークショップ2日目のコンテンツ作りに臨みました。

Apple社のSound StudioおよびiMovieという編集システムを使って参加者一人一人が自分のストーリーを制作しました。

果たして参加者全員が奮闘の末、なんとかコンテンツを制作することができました。その出来映えは半日足らずで制作したものとは思えない、とても素晴らしい ものばかりで公開できないのが残念なくらいです。

コンテンツ開発において、機器操作は慣れの問題であって大きな障壁にはなりませんが、魅力あるシナリオの作成が最大の課題だと思いました。

スタンフォード大学およびSFSU見学
スタンフォード大学では少人数教育およびグループワークを支援する教育システムが、一方SFSUは大人数向けの教育システムが印象に残っています。

カリフォルニア州の大学システムはマーチン・トロウがモデルとして見ていた「三層構造」の典型として、カリフォルニア大学(UC)、カリフォルニア州立大 学(CSU)、コミュニティカレッジがそれぞれ、エリート、マス、ユニバーサル向けの教育を担当しており、スタンフォード、UCバークレィといった研究大 学とSFSUが属するCSUでは対象とする学生および数が異なっているため、それぞれの特性を考慮したうえで本学にとって参考になるところを選択していく べきだと思っています。

おわりに
「池の中央に石を投じたときにできる波紋が中央から回りに広がっていくようにこのワークショップに参加したひとの影響が大学に徐々に広がって行くことを期 待します。またその石が大きければ大きいほど大きな波紋ができるので、ここに集まった11人の皆様が大きな影響力を持ってLearning Technologyを活用したFDに取り組んでください。」というのがクラスマネージャをしていただいたキム教授の言葉です。

前回の参加者を含めると15人の教職員がこのワークショップに参加し、Learning Theory、Learning Style、Learning Technologyを学び、また視察を含めて、それぞれが置かれている状況に応じた多くのことを吸収できました。

これらのメンバーが池に投じられる石となるべく、熱い志を胸に抱いて今後活動を続けていくことによってFDを学内に広めていくことが、このワークショップ に参加したわれわれの使命だと考えています。

今後とも皆様のご協力、ご支援をよろしくお願いいたします。




 

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