日本私立大学連盟主催「平成30年度FD推進ワークショップ」に出席いたしました
2018.06.19
教育開発支援機構FD推進センターの教職員が、日本私立大学連盟主催の「平成30年度FD推進ワークショップ」に出席いたしましたので報告いたします。
本ワークショップは、「私立大学とダイバーシティ〜教育現場・教育支援の視点から〜」をテーマに開催されました。ダイバーシティへの取り組みは、現在、日本の多くの大学が抱える課題の1つです。
本学では「ダイバーシティ宣言」など、大学全体で積極的な取り組みを実施していますが、一口にダイバーシティと言っても、様々な角度・切り口から考えられる問題であり、大学の規模や特性によっても取り組み方は変わってきます。
今後、本学のダイバーシティに関する取り組みを考えていくに際し、出席した教職員も、多くの刺激を受けたようなので、参加報告もぜひご覧ください。
■開催概要
テーマ:私立大学とダイバーシティ〜教育現場・教育支援の視点から〜
日時:2018 年6 月16 日(土)13:00〜18:00
プログラム:
開会挨拶 圓月勝博氏(日本私立大学連盟教育研究委員会委員長、同志社大学学長補佐・教授)
委員紹介
問題提起 荒金雅子氏(株式会社クオリア代表取締役)
グルーブ討議
総括
コーディネーター 川上忠重氏(同連盟運営委員会委員、法政大学大学評価室長・理工学部教授)
閉会挨拶 山本義郎氏(同連盟運営委員会委員、東海大学教育支援センター次長・理学部教授)
※司会 沖裕貴氏(同連盟運営委員会委員長、立命館大学教育開発推進機構教授)
■参加者
FD 調査プロジェクト・リーダー 山本兼由(生命科学部教授)
学務部教育支援課長 佛坂公子
■参加報告
問題提起では、「私立大学におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の意義と重要性」とのタイトルで講演がありました。主に企業コンサルトの経験から、組織におけるダイバーシティのテーマとして、1.ジェンダー、2.グローバル、3.エイジ、4.障がい者、5.LGBT、6.ライフスタイル、7.雇用形態の多様化、8.中途採用者、9.企業文化の統合、10.オピニオンなどのダイバーシティが挙げられ、それぞれに簡単な解説がありました。その上で、これまでのダイバーシティ(多様性)の認識に加え、そのインクルージョン(包摂・受容し活かす組織)へ転換する重要性を示されました。この転換へ繋ぐヒントとして、人間がもつアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の認知と改善が提起されました。個々の違いを個性として認め合い、差別・区別・偏見のない組織を目指すとともに、無意識のうちにそのような事象が発生しないよう組織として適切に対応していくことが必要との示唆を受けました。また、近年ネット社会も相まった組織の評判をコントロールすべく reputation management の観点をもつ重要性について指摘がありました。
グループ討議では、所属が異なる5〜6 名の8 グループに分かれてワークショップを行いました。参加する教職員は、事前に所属大学における学生を中心としたダイバーシティの取り組みについてレジュメにまとめて提出しており、それらに基づいた討論が行われました。法政大学ダイバーシティ宣言では、「性別、年齢、国籍、人種、民族、文化、宗教、障がい、性的少数者であることなどを理由とする差別がないことはもとより、これらの相違を個性として尊重すること」を謳っていますが、ここからもわかるように、ダイバーシティと一言で言ってもさまざまなテーマ・切り口があります。大学が現在最も課題としている内容が、例えば肢体不自由な学生のaccessibility への対応であることもあれば、留学生への制度的ケアの問題、発達障がいやコミュニケーションが苦手な学生への合理的配慮の問題、LGBT などのセクシャルマイノリティに対する配慮の問題、と様々であることがわかりました。また、このような多様な課題や問題は、大学の規模や特性などで異なる取り組みが必要であることを感じました。
いずれにしても、総括で示された「ダイバーシティはリテラシ」であり、「大学の教育研究にこそダイバーシティが必要」との言葉通り、大学としての制度的整備はもとより、現場で対応する教職員が不当に学生を傷つけることなく修学サポートするため、本学構成員に正確なダイバーシティに関する知識や具体的な対応事例を共有し、発展的な法政大学ダイバーシティの構築を目指すことが重要だと思いました。