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◆第11回FDフォーラム「これからの大学教育」(財団法人 大学コンソーシアム京都主催)

2006.05.19


第11回FDフォーラム「これからの大学教育」(財団法人 大学コンソーシアム京都主催)
第1分科会「授業改善−双方向授業の実践−」に参加して

FD推進プロジェクト・リーダー 新田誠吾 (経済学部教授)

第1分科会は、「授業改善−双方向授業の実践」がテーマで、事例紹介のあと、パネルディスカッションが行なわれました。

まず、木野茂(立命館大学教授)氏から「『講義のない双方向型授業』への挑戦」と題する報告がありました。これは、大阪市立大の総合教育科目「ドキュメンタリー:環境と生命」で開発された双方向授業です。木野先生が最も力を入れたのが、「いかに良く教えるか以上に、授業を通していかに学生が自ら考えるようになるか」ということでした。学生は、毎回ドキュメンタリー番組を鑑賞したあと、ディスカッションを行ないます。授業外には、ドキュメンタリーのテーマについて自分で調べたうえで、400字程度の意見をメーリングリストに投稿することが求められます。学生相互の投票によって優秀意見が選ばれ、教員が選んだ意見と共に科目ホームページに掲載されます。あえて教員が講義をしないことで、授業時間はすべて「観て、考えて、語る」ことに充てられます。世の中にある問題に気づき、自ら主体的に学び、他の学生とコミュニケーションを取りながら、自分の意見を作り上げていくすぐれた教養教育の実践例と言えるでしょう。実例は、こちらからご覧になれます。

つぎに、宇田光(南山大学教授)氏による「当日ブリーフレポート方式による双方向型の講義」と題する報告がありました。「当日ブリーフレポート」(BRD=Brief Report of the Day)とは、学生が、毎回の講義時間内に作成するA4の用紙1枚の報告書のことです。講義の冒頭に、教員から課題(たとえば、「OHPの利点と欠点は何か」)が与えられ、学生は自分でその解答を試みます。教員の講義を聞いたあと、課題について考えたことや要点をまとめて当日ブリーフレポートに記入し、提出します。この方式では、当日のテーマが明確になるだけでなく、学生の講義への集中度が高まります。また、自分でまとめる作業も加わり、講義内容の理解も促進されます。その一方で、講義時間内に学習が完結しており、「授業外学習が行なわれないのは、単位制度との整合性に疑問が残る」といった意見も会場からありました。

続いて、安藤香織(奈良女子大講師)氏による「ディベートで『考える力』をつける」と題する報告がありました。ディベートは、すでに多くの大学の授業で取り入れられているものの、成果については限定的なのが実情です。安藤先生は、学生にディベートのルールやフロー(ディベートの記録)のとり方について、実例のビデオを提示しながら丁寧に説明します。テーマは、身近なものから始めて、複雑なもの(たとえば、「代理母による出産を認めるか」)に移行します。同じテーマで2度行なうことで、立論などの成果を検討する工夫もされています。安藤先生は、ディベートをきちんと行なうことで、学生が主体的に課題を調べ、相手の主張を検討し、論理的な思考能力を高めるツールになりうることを強調されました。

最後に、橋本勝(岡山大学教授)氏による「『橋本メソッド』の有効性−学びの主権者の相互集団教育力−」と題する報告がありました。「橋本メソッド」とは、「多人数によるゼミ」という形式をとる授業スタイルのことです。これは、数十人から200名程度まで可能とのことです。第1回目の講義で、学生は3〜4名のチームに分かれ、あらかじめ設定されているテーマから2つ選びます。チームで協同して、期日までに資料原稿案を教員に提出し、発表の「エントリー」をします。エントリーされた中から、教員に選抜された2チームが授業当日に発表を行います。授業の最後に、全員が「シャトルカード」と呼ばれる用紙に感想や意見を書いて提出します。発表だけでなく、質疑応答やシャトルカードのコメントが評価の対象で、最終試験も行われます。橋本先生の講義で、もっともユニークなのが「大学授業改善論」です。前年に受けた授業について、学生がグループで改善点を討議し、改善案を発表するというものです。すぐれた改善案を発表したグループは、その科目の担当教員と実際に会って、授業について話し合うというものです。橋本先生は、学生にとっては楽で、学生が知らず知らずのうちに予習し、学びの「主権者」になっていくことが重要だと強調されました。

質疑応答では、いくつかの貴重なコメントや指摘がありました。入学してきた学生には、大学での学びを体得してもらう必要があること。その実践こそ、教養教育の本質だという指摘がありました。

このフォーラムには学生の参加もあり、学生の質問も取り上げられました。「学力低下に合わせ、習得技術やトレーニングに終始するのではなく、学問や学術の内容のある教育をしてほしい。それこそ大学の使命ではないか」という鋭い問いかけもありました。質疑応答の時間が足りないと感じるほど、活発な議論が展開されました。
 
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